年齢を重ねると第一に考えたいのが健康です。なかでも聞こえの問題はゆるやかに進行するため、後回しにしがちです。しかし、いつまでも健康で活動的なライフスタイルを維持するためには、聞こえのケアが欠かせません。
難聴になると元には戻らない場合がありますが、予防や進行を遅らせるためにできることはあります。この記事では、聞こえと健康のために日常的にできる6つの活動を紹介します。
パズル
脳は、耳から受け取った音を処理する重要な役割を担っています。筋肉を鍛えるのと同じように、脳にも定期的な運動が必要です。パズルは脳の衰えを防ぎ、良好な状態に保つ効果がある楽しい方法の1つです。クロスワード、数独などのパズルを、週に1回以上、できれば毎日、生活に取り入れてみましょう。
カードゲーム
カードゲームやボードゲームは、頭をすっきりさせ、大切な人とつながりを保つ楽しい方法です。人との交流は孤立を防ぐのに役立ちます。聴力が低下してくると、不安になって落ち込み、他の人との交流が少なくなる場合があります。友人や家族と一緒にいることが難しい状況でも、携帯電話やタブレット用の「バーチャル」なゲームアプリはたくさんあります。例えば、スマホやタブレットを利用しアプリのゲームなどで脳を活性化することもおすすめです。
ヨガ
ヨガは心や身体に多くの健康をもたらします。あるヨガのポーズが聞こえに効果的なことをご存知ですか?ヨガをすることで、脳や耳の血行が促されると、聞こえの健康を維持し、さらには神経の働きが高まって、細胞の解毒にも役立つといわれています。
血行促進が期待できるヨガのポーズには、木のポーズ、コブラのポーズ、三角のポーズ、ラクダのポーズなどがあります。ある研究によると、ヨガは耳鳴りの症状を軽減するとも言われています。定期的にヨガを実践すれば、不安やストレスのレベルが低下するかもしれません。
毎日の運動
日々の運動は、耳だけでなく、心身の健康維持のために欠かせません。毎日をアクティブに過ごすことで、さまざまな方法でウェルビーイングを高めることができるでしょう。もちろん、毎日ハードな運動をする必要はありません。ウォーキング、ジョギング、水泳、ヨガ、ガーデニングなど、自分が楽しめる運動を選びましょう。どの運動も、血液の循環を促し、血行を良くするのに役立ちます。大切なのは、運動を毎日の習慣にすることです。
また、運動は内耳の血液循環を良くする効果が期待できます。内耳の聴覚器官である「蝸牛(かぎゅう)」は、音の振動を神経や脳が受け取れるように電気信号に変換する重要なパーツで、血流の増加によって多くの効果があるとされています。
運動が苦手でも心配は要りません。週2回程度の運動でも、聞こえには良い影響がありますのでぜひ試してみましょう。
ただし、長時間ヘッドホンをして運動をしたり、大音量の音楽を聴いたりしないように注意してください。大きな音は蝸牛の内部にある有毛細胞にダメージを与えることが知られており、一度失った有毛細胞は再生しないのです。ヘッドホンから流れる音楽の音量に気を付けながら楽しみましょう。
瞑想
瞑想は古くから行われてきた習慣で、数多くの研究によって、健康に対するさまざまな効果が示されています。瞑想には加齢による難聴を予防したり、遅らせたりする効果があると言われています。
静かな環境のなかで座り、自分の内側に意識を向けると、血圧や血流が整い、その他の生理的プロセスを正常化するのに役立ちます。
瞑想にはストレスを軽減し、ストレスによって身体のあらゆるシステムに及ぼす潜在的な悪影響を抑制する力があります。
シンプルでありながら効果的なこの方法は、深いリラクゼーション効果をもたらし、脳への血流を増加させます。
また、周囲の音や、鳥のさえずりなどの環境音に意識を向けると、知らず知らずのうちに聴覚が鍛えられます。音を使って瞑想すると、一日を通してその音に敏感になり、やがて潜在意識も手伝って、以前は聞き逃していたような小さな音にも気づくようになるでしょう。これは、単なる心理的な聴覚の改善かもしれませんが、それでもその効果は絶大です。
公園で瞑想すれば、さまざまな音の中に身を置くことができます。瞑想をしながら深呼吸をすると、血液に酸素が行き渡り、血行が良くなります。身体と周りの音に対して、交互に意識を集中させましょう。
音の位置の特定
あまり知られていないことですが、音を聞き取る役割を担っているのは耳だけではありません。音の処理には脳も大きく関わっており、音に集中するトレーニングをすることで、脳の機能を最大限に発揮させることができます。
音の位置を特定するトレーニングは脳の能力を磨く効果的な方法です。このタイプの聴覚訓練にはいくつかのバリエーションがあるので、ご紹介しましょう。
1)部屋で音楽を流し、聞こえる音の微妙な違いに注意しながら歩き回ります。歌詞を理解し、曲のなかのさまざまな楽器を識別できるように頑張ってください。時々音量やトレーニングする場所を変えてみましょう。
2)部屋で音源(ラジオなど)をオンにし、小さな音量で音楽を流します。次に別の音源をオンにし、同じ部屋の別の場所に置きましょう。2つの異なる音楽によって騒々しくなるまで、音量を上げていく方法です。
3)家族の人に部屋の中を動き回りながら、本を読んでもらいます。目を閉じて、注意深く耳を傾けながら、その文章を声に出して繰り返し、その言葉がどこから聞こえてくるのかを探ってみましょう。
ご紹介したような活動の一部または全てを試してみることで、聞こえの改善が期待できます。効果を実感するためにも、定期的に行うようにしましょう。